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【税理士が解説】税金対策の落とし穴?財産評価基本通達を使用することができない「負担付贈与」とは

先日、賃貸不動産の贈与についてのご相談を受けました。 相談者様から事前にご相談を受けたため回避できましたが、もし、ご相談を頂かなければ思わぬところで課税が発生する事例でした。 本投稿では、負担付贈与についての贈与税の取り扱いについて解説を行います。

負担付贈与とは

ご相談を頂いた事例は、賃貸アパートの贈与の事例でした。 なぜ、賃貸アパートの贈与に問題であるかというと、賃貸アパートは、敷金債務の承継も同時に行われるため、かかる贈与が「負担付贈与」に該当する可能性があるためです。 負担付贈与とは、受贈者に一定の債務を負担させることを条件にした財産の贈与をいいますが、個人から負担付贈与を受けた場合は「贈与財産の価額」から「負担額」を控除した価額に課税されることになります。

ただし、贈与された財産が「不動産」である場合の贈与財産の価額は、贈与で適用される財産評価基本通達による評価(土地については公示価額の80%程度、建物は固定資産税評価額)ではなく、「通常の取引価額」に相当する金額となり、高い金額で贈与額を計算することになります。

「通常の取引価額」に相当する金額とされるのは、バブル期に通常の取引価額と相続税評価額との開きに着目しての贈与税の税負担回避行為(例えば、不動産の相続税評価額見合いの負債を負担付贈与した場合、贈与税を発生させない税金対策)に対して、税負担の公平を図るための措置として設けられたもの(以下、「負担付贈与通達」)ですが、バブル崩壊後も廃止されず現在に至っています。

負担付贈与通達

負担付贈与通達は、正式には「負担付贈与又は対価を伴う取引により取得した土地等及び家屋等に係る評価並びに相続税法第7条及び第9条の規定の適用について」という個別通達で、下記の通り発遣されていますので、負担付贈与や個人間の不動産の譲渡について適用されます。

1.土地及び土地の上に存する権利(以下「土地等」という。)並びに家屋及びその附属設備又は構築物(以下「家屋等」という。)のうち、負担付贈与又は個人間の対価を伴う取引により取得したものの価額は、当該取得時における通常の取引価額に相当する金額によって評価する。  ただし、贈与者又は譲渡者が取得又は新築した当該土地等又は当該家屋等に係る取得価額が当該課税時期における通常の取引価額に相当すると認められる場合には、当該取得価額に相当する金額によって評価することができる。 (注) 「取得価額」とは、当該財産の取得に要した金額並びに改良費及び設備費の額の合計額をいい、家屋等については、当該合計金額から、評価基本通達130((償却費の額等の計算))の定めによって計算した当該取得の時から課税時期までの期間の償却費の額の合計額又は減価の額を控除した金額をいう。 2.1の対価を伴う取引による土地等又は家屋等の取得が相続税法第7条に規定する「著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合」又は相続税法第9条に規定する「著しく低い価額の対価で利益を受けた場合」に当たるかどうかは、個々の取引について取引の事情、取引当事者間の関係等を総合勘案し、実質的に贈与を受けたと認められる金額があるかどうかにより判定するのであるから留意する。 (注) その取引における対価の額が当該取引に係る土地等又は家屋等の取得価額を下回る場合には、当該土地等又は家屋等の価額が下落したことなど合理的な理由があると認められるときを除き、「著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合」又は「著しく低い価額の対価で利益を受けた場合」に当たるものとする。 国税庁:負担付贈与通達

賃貸アパートの贈与は

賃貸アパートの贈与は、形式的に負担付贈与に該当するため、負担付贈与の適用があることが想定されます。 このような場合には、賃貸アパートの贈与と合わせて、敷金に相当する現金の贈与も同時に行うことで、贈与者・受贈者間においてなく、実質的な負担はないと認定することが可能となり、負担付贈与通達を回避することが可能となります。

【国税庁:賃貸アパートの贈与に係る負担付贈与通達の適用関係】 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/sozoku/14/08.htm

税金対策の最新事例については、こちらを参照ください。

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