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【税理士が解説】特定口座での株式等の譲渡や配当金について知っておきたい確定申告における留意点について。

更新日:6月12日

特定口座での株式の譲渡や配当金など、金融所得は複雑な課税関係となっています。 選択した方法によっては、数万円から数十万円も不利となる可能性がありますので、本投稿では、金融所得の税金対策について解説します。

金融所得の課税関係

上場株式等の配当金の課税関係は次の通りです(発行済株式の3%以上を保有する大口株主は総合課税の課税のみ)。

[*1] 総合課税とは、配当金を他の所得と合算して申告する方法で高所得者ほど税負担が重くなります(所得税(累進税率)の仕組みと税金対策の考え方参照。)。なお、配当控除(配当金額の12.5~6.4%の税金が控除される制度)が適用されるため、通常の税率よりも税負担は低くなります。 [*2] 分離課税とは、 配当金を他の所得と区分して、20.315%の比例税率により課税されます。 [*3] 配当控除は、二重課税の調整のため、所得税から10%~5%、住民税2.8%~1.4%控除されます(配当の場合)が、国内の上場株式からの配当や投資信託のみが対象で、J-REITや外国株式の配当には適用されません。

上場株式等の譲渡による課税関係は次の通りです。

[*1] 特定口座とは、金融機関等が譲渡損益を計算する口座で、源泉徴収の有無を選択できます。源泉徴収ありを選択した場合、確定申告が不要となる特例があります。 [*2] 株式の譲渡は、分離課税のみで株式の譲渡益を他の所得と区分して、20.315%の比例税率により課税されます。

総合課税を選択した方が有利となる場合

課税される所得金額が900万円未満である場合、所得税は総合課税、住民税は申告不要を選択することが有利となります(配当控除後の所得税率は、13.483%+住民税率5%=18.483%<20.315%)。 住民税で申告不要を選択するためには、確定申告書の提出とは別に住民税の確定申告が必要でしたが、令和3年分より確定申告書の第二表で申告不要を選択することが可能となりました。 ただし、令和4年度の税制改正により、令和6年度分から所得税と住民税の課税方式が一致させる改正が行われる予定です。

申告不要を選択した方が有利となる場合

申告不要を選択した場合、合計所得金額に算入されないメリットがあります。 所得税では、一定以上の合計所得金額により適用を制限している規定や優遇税制がありますので、確定申告により申告所得に含めた場合、このメリットが取れなくなる場合があります。 合計所得金額で制限を受ける主な規定や優遇税制は、次の通りです。

  1. 配偶者控除

  2. 扶養控除(被扶養者の判定)

  3. 基礎控除

  4. 住宅ローン控除

  5. 教育資金の一括贈与

  6. マイホームの買い替え 等

また、合計所得金額が増加した場合、住民税の所得割が増加するため、例えば、国民健康保険税や児童手当等に影響が生じる場合があります。

税金対策の最新事例については、こちらを参照ください。

本記事は、作成日時点の法令等に基づき、情報提供等を目的として当事務所の見解等を掲載したものです。
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