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【税理士が解説】新旧対照表で確認する令和5年度の税制改正(相続税法:相続・贈与編)

更新日:6月12日

令和5年度の税制改正では、「資産移転の時期の選択による中立的な税制の構築」として、「相続時精算課税制度の使い勝手向上」、「暦年課税における相続前贈与の加算」、「贈与税の非課税措置」についての改正が行われる予定です。 実際にどのような改正であるかについては、税制改正大綱で示されていましたが、改正案が公表されましたので、その詳細につい新旧対照表で確認をしたいと思います。

  1. いわゆる生前贈与加算の持戻し期間が3年から7年に延長されましたが、延長された期間(4年目から7年目まで)の贈与財産の価額の全てが加算される訳ではなく、その期間の贈与財産の価額の合計額から100万円を控除した金額が加算されます。

  2. 改正附則第十九条により、令和六年一月一日以後の贈与から7年となるため、実質的に令和九年一月一日以後の贈与から段階的に持戻し期間が加算され、令和十三年一月一日以後に贈与から7年となります。

  3. 贈与により取得した財産は、「第二十一条の二第一項から第三項まで、第二十一条の三及び第二十一条の四の規定により当該取得の日の属する年分の贈与税の課税価格計算の基礎に算入されるもの(特定贈与財産を除く。)に限る。」とされていますので、いわゆる暦年課税の対象となる財産(このうち、贈与税の非課税財産や婚姻関係20年以上の夫婦の居住用不動産等を除く。)に限られ、相続時精算課税の対象となる財産は本規定による持戻しの対象外となります(相続時精算課税については、下記の記載をご確認下さい)。

  4. 持戻しの対象者は、「相続又は遺贈により財産を取得した者」であり、この点の改正は行われていませんので、相続等により財産を取得していない孫などに対する贈与については、従前どおり加算対象ではありません。

  1. 相続時精算課税について、暦年贈与と同じく基礎控除が設けられました。このため、少額の相続時精算課税の贈与についても贈与税の申告が不要となります(改正後相続税法第二十八条)。

  2. 相続税法の基礎控除は六十万円ですが、租税特別措置法条第七十条の三の二(相続時精算課税に係る贈与税の基礎控除の特例)により百十万円とされます。

  3. 相続時精算課税の基礎控除と暦年贈与の基礎控除は別枠となりますが、複数の特定贈与者から贈与を受ける場合には、合計で百十万円となります。

  1. 相続時精算課税に係る二千五百万円の特別控除は、基礎控除控除後の贈与税の課税価格に適用されます。

  1. 相続時精算課税の贈与税の課税価格は、基礎控除後であることが明確化されています。

  1. 相続時精算課税適用者の相続財産に加算される金額は、第二十一条の十一の二第一項の規定(相続時精算課税に係る贈与税の基礎控除)による控除をした残額とされましたので、基礎控除分は相続税の課税価格に算入されず、また、暦年贈与と異なり7年以内の持戻しもありません。

  2. 従前は、相続時精算課税制度に基礎控除はありませんでしたので、基礎控除額以下での贈与の場合には暦年贈与が有利となっていましたが、改正により暦年贈与は持戻しの期間が延長されたため、相続時精算課税制度の方が有利となりました。

  1. 相続時精算課税に係る基礎控除についての改正です。

  1. 相続時精算課税適用者は、贈与税の課税価格が基礎控除以下である場合には、贈与税の申告が不要となります。

  1. 条文番号変更による改正です。

  1. 国税の更正・決定等の期間制限の間際(六月以内)に更正の請求があった場合、当該更正に係る他の相続人等の相続税額に異動が生じる場合には、当該他の相続人等の更正・決定等の期間を当該更正の請求があった日から6月を経過する日までとすることができるものとするものです。

  1. 条文番号変更による改正です。

  1. 暦年課税、相続時精算課税制度の改正に伴う相続時精算課税等に係る贈与税の申告内容の開示等の改正されました。

  1. 光ディスク等による提出について、所轄税務署長等の承認が不要となりました。

  1. 暦年贈与の期間延長による改正で一般社団法人等についても同様に改正されます。

本記事は、作成日時点の法令等に基づき、情報提供等を目的として当事務所の見解等を掲載したものです。
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